京都大学大学院理学研究科 数学・数理解析専攻 基礎科目 2017年度 第3問 解答
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(1)
は の固有値だから, ある が存在して, かつ を満たす.
このとき,
\begin{align}
AB(Ax) = A(BAx)
= A(\lambda x)
= \lambda (Ax)
\end{align}
と仮定すると, 両辺に左から を掛けると, となる. このことは かつ であることに矛盾するから, である. よって, は の固有値でもある.
(2)
(1)の証明と同様の議論により, (1)の主張の逆も成り立つ. よって, が の固有値であることと が の固有値であることは同値である.(*)
(i) が の固有値でないとき, (*)より, は の固有値でもない.
よって, より, である.
(ii) が の固有値であるとき, (*)より, は の固有値である.
このとき, は の固有値 に対応する一般固有空間であり, は の固有値 に対応する一般固有空間である.
一般に と の非零固有値は重複度も込めて等しいから, より, の固有値としての の重複度と の固有値としての の重複度は等しい.
また, 一般固有空間の次元は対応する固有値の重複度に一致するから, である.