九州大学大学院数理学府 2017年度基礎第1問 解答

問題

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解答

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発想とポイント

線形変換の固有値と固有空間を求めるという典型問題である。
ただ、行列の固有値と固有空間を求める問題には慣れていても、線形変換の問題には慣れていない人も多いのではないか?
重要なのは次の2つの命題である。

命題有限次元K線形空間上の線形変換の固有値はその任意の表現行列の固有値と等しい。

命題Vを有限次元K線形空間とし, f:V \rightarrow Vを線形変換とする.
Vの基底v_1, \dots, v_nに関するfの表現行列をAとする.
\lambdaf固有値とする.
このとき, 次の(1), (2)が成り立つ.
(1) x \in K^n\lambdaに属するA固有ベクトルであることと,  (v_1, \dots, v_n)x \in V\lambdaに属するf固有ベクトルであることは同値である.
(2) x_1, \dots, x_k \in K^n\lambdaに属するAの固有空間の基底であることと,  (v_1, \dots, v_n)x_1, \dots,  (v_1, \dots, v_n)x_k \in V\lambdaに属するfの固有空間の基底であることは同値である.