京大数理解析系令和2年度基礎科目第3問

解答

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発想とポイント

存在問題だから、自分でV_0,V_1を構成する必要がある。とりあえず使える道具は問題文より、f(\text{Im}g)=Wで、f全射であることがわかる。
線形代数において、全射の代表的な性質に次がある。

定理V,W線形空間, f:V \rightarrow W全射線形写像とする. Vの部分空間V'について, 次が同値である.
(1) V=V' \oplus \text{ker}fである.
(2) f|_{V'}:V' \rightarrow Wは同型である.
なんか直和でてくるし使えそうだし、\text{ker}も条件(ii)と相性良さげ。
ということで、V_0=\text{ker}fとおくと、(ii)を満たすことが簡単にわかる。
更に、 V = V' \oplus \text{ker}fと直和分解すると、上の定理から、 f|_{V'}:V' \rightarrow Wは同型である。
ところで、f(\text{Im}g)=Wだったので、V'=\text{Im}gと予想でき、これが(iii)を満たすことが簡単にわかる。
ということで、最初からV_0=\text{ker}f, V_1=\text{Im}gとおき、(i),(ii),(iii)を満たすことを示せば、上の解答となる。
ちなみに、上の定理は
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